3.重症時の症状
ひどい場合どういう症状になるのか?入院が必要になるのはどういう時でしょうか?
症状には身体とこころの症状があります。ほとんどの身体の症状は、食事量を制限したり、食べても吐いてしまったりするために起こる栄養不足が原因です。しかし、栄養状態が保たれていても嘔吐だけで生じる問題もあります。嘔吐だけで生じる問題に関しては、その旨を明記します。
A-1 脳
a. 立ちくらみ
急に立ち上がるとふらついたり、転倒したりする。
b. 低血糖
血糖が下がって、意識が遠のいたり、けいれんしたりすることがあります。
c. 脳の萎縮
栄養が足りなくなったり、脱水が進行したりすると脳が縮んでしまいます。
判断力なども鈍ります。栄養状態などが改善すれば元に戻ると考えられています。
A-2 心臓
a. 徐脈
脈が遅くなります。
夜眠っている時に1分間に45回より少なくなります(数値については他の医師にも要確認)。
さらに悪化すると心臓が止まってしまうことがあります。
b. 不整脈
心室頻拍など命に関わるような不整脈も起こりえます。
c. 心のう水
心臓を包む膜に水がたまることがあります。
d. 僧帽弁逸脱症
心臓の中で心房と心室を分けている重要な役割をする僧帽弁の動きに異常が出ることが有ります。
A-3 骨
a. 骨粗しょう症
通常はお年寄りに見られる骨粗しょう症が、若い人でも起こります。
カルシウム不足により骨がもろくなるためです。
カルシウムは、骨に蓄積できる年齢が決っているため、その時期を逃すと後から骨を丈夫にすることは難しいです(他の医師にも要確認)。
b. 骨折
骨粗しょう症が原因で骨がもろく、折れやすくなります。
四肢の骨だけでなく、骨盤や椎体など重要な骨が折れて命に関わる可能性もあります。
c. 成長障害
摂食障害は思春期に起きやすいです。
骨の成長がまっさかりの時に病気になると成長が途中で止まってしまって身長が低くなってしまいます。
A-4 ホルモン
a. 甲状腺ホルモン
ホルモンは身体の中で作られ、身体の様々な活動を調整する物質で、その代表的なものの一つが甲状腺ホルモンです。
低栄養でまず問題になるのが甲状腺ホルモンの低下です。
ひとよりも寒がりになったり、疲れやすくなったりします。
b. 女性ホルモン
女性の場合には、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが低下します。
生理や骨にも影響を与えます。
A-5 月経
a. 無月経
女性の場合には、生理の頻度が減ったり、止まったりします。
まだ生理が始まる前に発症した場合は、ずっと生理が来ないこともあります。
A-6 その他
a. 髪の毛
髪の毛が抜けやすくなります。
b. 皮膚
皮膚がカサカサになってしまいます。
新陳代謝が低下して、毛が生え変わりにくくなるために毛深くなります。
c. 貧血
d. 唾液腺
e. 歯への影響
嘔吐によって、胃酸が逆流して虫歯になったり、歯が溶けやすくなったりします。
A-7 こころの症状
抑うつ状態になったり、うつになったりします。また、強迫障害といって、
食事や生活に過度のこだわりを持ってとらわれてしまうこともあります。
また、生まれつき発達の偏りを持っている患者さんもいます。