ファミリーコーチ PROJECT

健康

STEP4. 減量

3.質の良い睡眠

a. 睡眠時間

 

日本人の成人の平均睡眠時間は、健康な状態で一晩6時間から8時間でそれが標準的とされています。

しかし、加齢とともに徐々に早寝早起きと朝型傾向が強まり、日の長い季節では睡眠時間は短く、日の短い季節では長くるなど年齢や季節でも異なります。

 

短い睡眠は日常生活や健康に悪影響をもたらしますが、長時間の睡眠をとったからといって必ずしも疲れがとれるわけではありません。休日に寝過ぎたりすると、生活のリズムが乱れるだけでなく、体の不調につながります。

「昼間に眠くならない程度の自然な睡眠」がその人にとって最も適した睡眠時間です。

参考/厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」(2,014年3月)

 

 

b. 睡眠の時間帯

 

“午後10時~午前2時は睡眠のゴールデンタイム” という言葉をよく耳にします。

しかし現代社会においては、残業で帰宅が遅くなったり、家事や育児に追われていたりと夜10時就寝なんてとても…という方は多いと思います。

 

睡眠は、レム睡眠(浅い)とノンレム睡眠(深い)という2つの眠りを交互に繰り返しています。

成長ホルモンの分泌は、ノンレム睡眠のときがピークに達します。肝心なのは時間帯ではなく、最初に来るノンレム睡眠がどれだけ深いかどうかです。

成長ホルモンは、“睡眠ホルモン”と言われるメラトニンによって促されています。

メラトニンは脳の奥深くにある「松果体」という器官から分泌されるホルモンの一種で、副交感神経(リラックスモード)を優位にさせる働きがあります。目から入ってくる光の量と密接な関係があり、その分泌は朝日を浴びて約15、16時間後に増え始め、その2、3時間後にピークを迎えると言われています。

 

例えば、朝8時に朝日を浴びたとします。

眠くなるのは15、16時間後の夜11時、12時、メラトニンが最も分泌されるのは午前1時、2時となります。

最初のノンレム睡眠に入るのが寝ついてから約90分後と言われているので、その2つが重なる時間、つまり、午前12時半~1時半あたりが成長ホルモン分泌のピーク、その方の睡眠のゴールデンタイムということになります。

 

ただし、就寝前にスマートフォンやパソコンの画面から出るブルーライトを浴びたり、蛍光灯の明るい部屋で眠ったりすると、メラトニンは分泌されにくくなるので、就寝前には暖色系の照明の下で過ごし、部屋を暗くして眠ることが重要です。

 

 

c. 睡眠と室内環境

 

室内の環境は睡眠の質に大きく影響します。

寝具を利用した状態で、室内温度16~26度、湿度50~60%を目安にするとよいでしょう。

ただし、夏は熱中症のリスクがあるため、就寝中、室温が26度以上の熱帯夜が予想される熱場合は、エアコンはつけたままのほうが眠りやすいこともあるかもしれません。

ほか、加湿器・除湿機などを上手に活用し、快適な温湿度環境をつくりましょう。

 

 

d.睡眠前の運動

 

体温と睡眠は深く関係しています。

私たちの深部体温(体の中の深い部分の体温)は夕方過ぎに最も高くなり、その後、就寝に向けて徐々に低くなっていきます。

寝つきを良くするには、その深部体温をいかに下げていくかがポイントです。

  

激しい運動は交感神経(アクティブモード)を優位にし、体温を上げてしまうため、就寝前に運動をすると体温がなかなか下がらず、寝つきは悪くなってしまいます。

筋トレのような無酸素運動は3時間くらい前までに、ウォーキングなどの有酸素運動を就寝の2時間くらい前までに済ませておくとよいでしょう。

就寝前はストレッチで体をゆっくり伸ばすなど、リラックスモードの副交感神経を優にさせる運動が効果的です。

 

 

e.睡眠前のアルコール摂取

 

わが国では、“眠れないときには寝酒”という誤った認識をしている方が多いようです。

アルコールは、覚醒作用をもたらすため、愉快でくつろいだ気分にさせてくれますが、それは微量の場合です。

アルコール量が一定を超えると眠くはなりますが、しばらくしてアルコール血中濃度が低下すると、覚醒作用が再び出始め興奮し、今度は眠れなくなります。

 

また、アルコールには利尿作用があるため、睡眠中、何度もトイレで目が覚めたり、脱水症状で喉がカラカラになったりし、熟睡はできていないことが多いはずです。

さらに、アルコールは肝臓で分解された後、アセトアルデヒド、酢酸など様々な物質に変化し、最終的には水と二酸化炭素水と炭酸ガスとなって体外に排泄されます。アセトアルデヒドは頭痛の原因になるほか、発がん性も指摘されています。

つまり、アルコールが分解され、酔いが覚めたとしても、脳や体に悪影響を与える有害物質は体内に残存し、睡眠中も分解・排泄などで体は働き続けるというわけです。アルコールの量が多ければ多いほどその時間は長くなります。

お酒を楽しんだ翌日、疲れがとれない、体調がすぐれない、となるのは当然のことなのです。

アルコール摂取は睡眠の3~4時間前までにし、下記の適度な量を楽しむ程度にとどめることをおすすめします。

 

※適度な量

厚生労働省が推進する「健康日本21」(平成12年度~24年度)によると、「節度ある適度な飲酒」とされる1日平均純アルコールで約20g程度まで、ビール(アルコール度数5度)で換算すると中瓶(500ml)を1本程度とされています。

 

このビールを基準に、普段飲んでいるお酒のアルコール度数で換算するとそのお酒の適量がでてきます。  

  

   500×5÷(飲みたいお酒のアルコール度数)=そのお酒の適量(ml)

   例)アルコール度数12度のワインの場合

      500×5÷12=208(ワイングラス2杯程度)

     アルコール度数15度の清酒の場合

      500×5÷15=167(一合弱)

     アルコール度数43度のウイスキーの場合

      500×5÷43=58.1(ダブルでグラス1杯程度)

 

ただし、年齢や体質など個人差があり、その日の体調などによって、基準より少なく、あるいは節酒を心がけるようにして下さい。

 

 

f. 睡眠前のカフェイン摂取

 

カフェインは、覚醒作用があり、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。珈琲だけでなく、緑茶、烏龍茶などカフェインを多く含む飲み物は気を付ける必要があります。

 

※ノンカフェインの飲み物

麦茶、はと麦茶、そば茶、コーン茶、どくだみ茶、黒豆茶、ルイボスティー、カモミール茶など

 

 

g. 睡眠と入浴

 

熱めのお湯に入るとアクティブモードである交感神経が刺激されてしまいます。

寝つきを良くするには、入眠までに体温を徐々に下げていく必要があるため、入浴は就寝の90分前を目安にするといいでしょう。

40度前後の少しぬるめのお湯(お湯につかったときに“気持ちいい”と感じる温度)に、体があったまるまで(額からうっすらと汗が出る程度)ゆったりとつかることをおすすめします。

 

h. 睡眠と夢

夢は、レム睡眠(浅い)のときも、ノンレム睡眠(深い)のときにも見ています。

まず、レム睡眠のときは、眼球がぴくぴくと急速に動いている状態、ノンレム睡眠のとき眼球は上転し、白目をむいている状態です。

レム睡眠中は、記憶と学習に関わる扁桃体や海馬といわれる大脳辺縁系が活動していて、脳の一部は起きており、記憶の定着が行われているとされています。夢をはっきり覚えているのはレム睡眠で起床した時です。

対して、抽象的でよく覚えていない夢は、深い眠りであるノンレム睡眠で起床した時です。

夢を見たので眠りが浅かった、とは一概には言えないようです。