1.兆しを見分ける方法
病気の食べすぎなのか、ただ食べるのをやめられないだけなのか、兆しを見分ける方法について述べます。
摂食障害には、極端に食事を制限してやせが進行する拒食タイプと沢山食べてしまうが嘔吐することによって体重をコントロールしている過食嘔吐タイプがあります。以下のこの二つのタイプに分けて記載しています。
A.身体の症状
A-1 体重
主に拒食タイプで栄養障害がある場合に問題になりますが、過食嘔吐タイプでも体重に変化があることがあります。
体重減少の確認が大切。特に中学生、高校生のように成長期で体重が増えていく時期なのに逆に体重が減ってしまうのは危険なサイン。
食べ方がおかしいと感じた場合には体重変化に注意すること。
A-2 体力低下や寒気
主に拒食タイプで栄養障害の結果として起きます。
低栄養により体力が低下したりホルモンバランス異常が起こったりする。
このため、健常人よりも極端に寒がるという症状が出ることがある。
B.行動の異常
B-1 食事
食べ方だけで病気かどうか判断することはなかなか難しい。
a. 食事量
拒食タイプ。総カロリー数を気にして、量を食べることができない。
b. 食事内容
拒食タイプ。特に脂肪などを極端に嫌う。総カロリー数を気にする。拒食タイプを疑った方が良い。
過食症タイプ。一つのものを大量に食べるなど
c. 食事回数
過食嘔吐のタイプ。後で嘔吐することを前提に食べているので食事回数も増えて、過食しがちになる。
d. 食事時間
拒食タイプ。食べる量が少ない場合でもゆっくりゆっくりと食べてしまう。
過食タイプ。食べるのが早いこともある。
e. 食べ方
様々な例が報告されている。
例えば、チャーハンであれば食べ始める前に一旦、ご飯と具材を全て分けてから食べ始めるなど。
チャーハンの中の肉など食べにくいものがあるため、一旦分けて食べやすいものから食べたりする。
過食タイプでは変わった食べ方が見受けられないこともある。
f. 味覚
拒食タイプでは特に、とても甘いものや辛いものを好むことがある。
B-2 トイレ
a. 過食嘔吐のタイプの場合、食後すぐにトイレにこもって、嘔吐をする。
食後すぐにトイレに行くこと、トイレの時間が長すぎるというのは危険なサイン。
また、吐物が多くてトイレがよく詰まることもよく起こる。
b. 摂食障害患者は便秘傾向の患者が多いため、それだけでもトイレ時間は長くなる。
B-3 水分摂取
a. 水の摂取減少
体重を頻回に測っている患者に多い。
水はカロリーがゼロであるが、体重計に乗ると、1mlあたり1g増えることになるため、体重が増えることを恐れて飲まなくなってしまう。
b. 過剰水分摂取
嘔吐タイプでは水を飲むことで嘔吐しやすくする方法がある。
また、水を食事と一緒に多量に摂るとカロリー摂取が抑えられる可能性がある(要文献)。
また、すでに摂食障害で通院している患者の場合は、一時的に体重を増やす目的に水分摂取をすることがある。
B-4 その他の異常行動
a. 隠れ食い、盗み食い
家族のいないところで隠れて食べたり、冷蔵庫の中や保存してある食品を無断で食べたりしてしまう。
職場やお店でも万引きして食べたりすることもある。
C.こころの症状
C-1. 口論
食事のことで家族と喧嘩になる。
C-2. 気持ちの変化
食後に食べ過ぎてしまったと落ち込んで自分を責めたりする。
C-3. 食事への関心
摂食障害になると、食事に対する関心が病的に高まる。
a. いつも食事のことばかりを考えて、テレビ、雑誌などいつも食事に関する情報を探している。
b. 食事への過度のこだわり
例えば、食材の買い物でも細かい注文を付けるようになる。
例えば豆腐でも、メーカーや商品を細かく指定するようになる。
c. カロリー計算
カロリーを気にするようになって、自分でカロリー計算を始めたりすることもあります。
まとめ
食べ方だけで見分けることは難しいことがあるが、その他の生活の様子などから病的と判断できます。